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MAKI 駄 BANASHI

医学生ラッパー、マキダシット。

CHECK DA SHIT❶ #025EP/ TUMA

何の前触れもなくコーナーを始める癖ってのは昔からありまして。

といっても別に、何のメディアの連載も特に持ったことは無いのですが、昔からラジオっ子で、小学校の頃はよく友達とテープレコーダーでラジオ番組を作ってはダビングしまくり、学級中にバラまいておりました。まぁ、その程度のことなのですが、その頃も思い付きでほぼ毎回コーナーの造設をしていたもんで、一緒にパーソナリティ役をしていた相方といさかいになり、彼はサッカーの道へ、僕は彼のサッカーの負け試合のみをレポートする史上最低なスポーツラジオのパーソナリティの道へと進んでいった次第であります。

まぁ、そんな僕の暗黒子供時代の話は置いておき(前置きが長くなりましたが、) CHECK DA SHIT』と題しまして、オススメ音源を紹介していくコーナーを細々と始めたいと思います。イェ〜イ!至極シンプル。

とりあえず第1回は手前味噌ですが自分のアルバムを、、といきたいところですが、先約というか、先んじて紹介しなければならない音源がありまして。

 

それが、東京は江東区のラッパー・TUMAが2016年8月に配布開始した「#025EP」であります。

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彼はこの音源に対し「感想を対価にしたフリーEP」というスタンスで、ネット上やライブ現場にて無料配布をしているのですが、僕みたいに真面目で不真面目な奴は“なかなか適当なコトも言えねーなー”と、とりあえず頂いたものの結構な期間、聴けずにおりました。ちょっとこの事について個人的な言い訳をさせて頂くと、このEPのデータを貰ったのは恐らく8月30日の大学生ラップ選手権予選(※1)の日で、その辺りはイベント準備でバタバタしていたのと、僕の“TUMAの音源に対する過剰な構え”の為でした。このTUMAの音源に対する過剰な構えとは、もしかしたら共感できるラッパーが多少なりともいてくれるんじゃないかと思うのですが、端的に言うと、TUMAのラップが上手すぎて、今書いてる曲ないし歌詞をボツにしたくなる症候群とでも言いましょうか、(凄く字ヅラにするとダサいですね…今この文章を打ちながら落ち込んでいます。笑) 要は、自分が信じて書いてきた歌詞や曲に対してまで、そんな感情が芽生えてしまうくらい彼の楽曲は、言葉選び、フロー、トピックセンス、彼自身の目線やキャラクターのブレなさ、などなど挙げていけばキリがない位、総合的に優れているってことです。お世辞抜きで僕が普段現場で会うメンツの中でもTUMAは一、二を争うMCだと思っています。(なんか思わず似非評論家みたいな論調になりつつありますね。マキ君にも頑張ってほしい!!)

ちなみに僕にこの症状が顕著にみられたのが、TUMAが昨年の年度末に発表した、過去曲のまとめ集「TUMA ZIP」を聴いた直後でした。実はその頃僕は自分の1stアルバムを完成させており、マスタリングをしてもらった直後だったのですが、「TUMAの聴いてみっか〜」くらいの軽い気持ちで再生したら、「コイツうめえええええ!!!!」と、焦りすら伴う感動を覚えました。このレベルの感動は、青森から上京してきて、人生で初めて豚骨ラーメンを食べた時のソレ級のものでした。

そして同時に、制作中の自分の曲に対して「あー、あの曲のあそことかもっと言い回しあったハズだよなー!」やら「あの曲はもうちょっと乗せ方こだわるべきだったなー」などと、奇しくもマスタリング直後の自分のデータに対し思いを巡らせてしまったものです。もちろん、いい(良性の)刺激っちゃいい刺激なんですよ?

しかしながらその経験のPTSDといいますか、軽いトラウマみたいなものが形成されてしまい、TUMAの今後の新曲(特にまとまった音源なんか)は、気持ちにだいぶ余裕がある時で、制作過程の曲が無い時に聴こう!みたいなスタンスとなってしまったのです(笑)

なんとも情けない話ではありますが、こんな気持ち悪いテンションの推薦文書を書いちゃうくらい、私がラッパー・TUMAをリスペクトしていると捉えて頂きたい。(あまり本人に伝えた事はないのでコレ読んだらびっくりするかもだけどね笑)

 

そして、#025EPを聴く

 

全体を通してのザックリした印象は、TUMAの2016年夏の新潟での経験を追体験できるようなEPだったな、というものでした。

一先ず、他のみんなの#025EPの感想ツイートやらTUMA本人のEPの解説ブログなんかも見ずに3,4周ほど聴いてみたのですが、最初はそれこそ025の数字にすらピンと来ずにいたものの、2周3周と回を重ねるごとに、段々とハナシの全貌が見えてきて、リリック中の色んな小ネタや浮かんでくる情景に対して、自分の想像(予想)なんかも織り交ぜながら楽しく聴けました。イントロ、インタールード、アウトロを除くと(ここんとこの作りもしっかりしてて凄い良い!) 5曲からの構成で、序盤2曲、02.なんでもない夏の日 と04.夜に怠惰 が新潟での交遊録であり、中継ぎの05.Chicken Wing と06.Broken 99 がTUMA自身の姿勢やメンタリティが反映されている、ある意味『いつものTUMA感』を感じられる部分、そして最後の07.Go ahead はこの夏の経験を通してのTUMAの新たな決意表明、みたいな流れになっているのかなーと。

そして全体の構成をみると、僕はピークがふた山あると思って。

順に追って話すとまずは01.Enter da JET(intro) からの02.なんでもない夏の日、この流れは映画の冒頭シーンのような役割をしてると思って。映画でよくあるじゃないですか、冒頭で本人による、コトの経緯の説明語りから入って、「コレコレこういう訳で今俺は新潟にいるんだけど、にしても新潟意外とアチィーー!!」辺りから現地での映像ショットに切り替わる、みたいな展開の映画(笑)。まさに01、02はそこで、田舎の圧倒的な“日常”に飛び込んだ、都会っ子のTUMAに、何かドラマティックなことが起こりそうな予感をさせてくれる、ってのが、全体で見たところのこの辺りの曲の役割なのかなーと。ちなみに02.なんでもない夏の日 はKREVAの5thに入ってるhot summer daysに近い良さを感じました。そしてその“ドラマティックな何か”がついに完成に近づいている、近くまで来ている!!と感じさせてくれる 03.interlude、(コレは後で答え合わせ的に見たTUMAのブログで知ったのですが、03.に関してはプロデューサーのkiwyさんがミックス段階でサプライズで入れてくれたそうで。この話もまた、kiwyさんまで含めて新潟で交流した全員でこの#025EPのビジョンが共有できてるって事の表れだよなーと思いました。素敵。)

そしてその後、1つ目の山場が来ます。このEPの核とも言える名曲 04.夜に怠惰 feat.宇宙忍者バファリン, Sahnya であります。コレは本当にドラマティックというか、ドラマそのもの(笑) #025EPを聴きたいけど、時間がない!なんて人はこの1曲をよーく咀嚼すれば、、なんて事はオススメしませんが。

バファリンさんの声質とTUMAの声質はどちらも特徴的なのに、高低差のバランスが絶妙にマッチしてて、かつ言葉の乗せ方も巧者二人とだけあって耳に残るし聴いてて心地よい、、。そして、Sahnyaさんのハスキーで甘い歌声がそこにピタッとハマって凄くグルーヴィーな雰囲気が完成しています。なんか変な話、全員僕の全く知らない言語、(もしくはハナモゲラ語みたいなもの)でこの曲をやっても、音レベルですごい事やってんなーと思えるだろうなと思った曲でした。内容的にはTUMA君とバファリンさんの邂逅をSahnyaさんkiwyさんがプロデュースしてる、みたいな感じなんでしょうか。2バース目のTUMAの「自虐も板についた気がした〜」のあたりのくだりが個人的にはフローも込みで好きです。

さてさて、1つ目の山場を超えると超低体温(いや、逆にホットなのか?)なTUMAが山陰から急に現れます。これぞ真骨頂と思わせてくれるシーンへの辛辣な警鐘「05.Chicken Wing」。これは僕のイメージですが、TUMAは遊戯王の条件発動系の効果で攻撃力が倍とかになるモンスターよろしく、dis曲なんかになると普段の棘が強度も密度も倍くらいになるイメージです(笑) disられたくないなーー!とりあえずこの曲に関してももれなくザ・TUMA節というか、的を一切外さない正確な射撃で偏った考え方のMCを綺麗に揶揄してるなー、と。説得力を持たせるためにフロウも使い分けしてるあたりも芸が細かいなーなんて思いました。「06.Broken 99」中の99は9lash9lassから来たものだったのね!(これはTUMAのブログ参照。) 実は個人的に、夜に怠惰と並んで1番好きかもしれない1曲。特に最初のバースの孤独なSF描写感は、僕の好きな藤子・F・不二雄のSF・異色短編シリーズっぽさがあってすごく聴き入ってしまいました。ちなみに初めてこのEPを聴いた時、この曲の半ばあたりで「クソ!上手い!クソ!上手い!畜生!!」と、興奮状態に陥り、後のPTSDを覚悟しました(笑) 

さて、そんなネガの立ち込めたゾーンを抜けると、春を迎えるかの如く光が差し込む展開が待っております。それがグランドフィナーレであり2つ目の山場 、07.Go Ahead この曲で描かれてるようなポジティブな感情って、前触れもなく案外ボソッとやって来たりするモンだと僕は思うのですが、TUMAの曲もやはり“荘厳な決意表明!!”みたいな大袈裟さ、硬さが無いのがすごくナチュラルで、あくまで自室で等身大の自分を採寸し直してる雰囲気がすごく好きです。

“百家争鳴のシーン

明日は何処へ行く?

輝く刹那映すビデオカメラ

まだ少しだけだが人生を賭けた”

このシメなんて最高じゃないですか。

そして、最後を飾る 08.RAISHI(outro)。僕は恥ずかしながら礼紙というものの名前をここで初めて知りました(笑) みんな知ってるものなのかな?あと、“ギシギシした机”ってのはkiwyさんのRoutine studioでTUMAが歌詞を書いてた机ってことなのでしょうか?まぁそうだとしたら確実に世話になった物ではありますからね。TUMAの品の良さと茶目っ気の垣間見えるoutroはこの名盤のシメとして凄く“いい塩梅”でした。

 

珍しくすごく長いコト書いてしまいましたが、僕の思ったこのEPに対する対価としては僕の拙いクセに随所で自己主張が激しい文章(笑)ではもう少し文量が必要な気もしますが、、 まぁ十分クドクド書きましたのでこの辺でご容赦下さい。ここまで読んでくれた人、どれくらいいるのかなぁ、、?(笑) この文章を読んで、1人でもTUMAのEPを新たに聴く人が増えればいいなーなんて思いました。オススメでございます。

 

MAKI DA SHIT

 

参考文献:

http://blog.livedoor.jp/tuma1995/archives/65820420.html (TUMAのブログ)

 

※1 僕は上記の通りTUMAをラッパーとしてめっちゃイケてると思っているので、自分主催の大学生ラップ選手権に本戦から選抜mcとして出て貰いました。TUMAはそんな本戦選抜mcの中で唯一、予選にも顔を出してくれて、客席から予選大会を盛り上げてくれました。律儀な男やなぁ。感謝しております。